木村えつこ プロフィール
アーティスト、フォトグラファー。ニューヨーク大学(NYU)卒業・フランス文学専攻。同大学(NYU)大学院修士課程修了・アート/ フォトグラフィー専攻。永年住み慣れたNYグリニッチ・ヴィレッジ特有のボヘミアン的な環境のなかで、世界中から集まってきた若くてエネルギー溢れるアーティストたちに触発されて、最も心を惹きつけられる写真を中心に、自由な創作活動を始める。ヴィジュアルアートからフォトジャーナリズムまで、多岐に渡って経験を積む一方、幼い頃から親しんだフランス文学やフランス映画を機にパリ滞在を経て、自ら詩作を手がけたり自主制作映画に参加したり、多方面に渡って活動。コロンビア大学(ニューヨーク)大学院の建築学部に学び、マグナム・フォト(ロバート・キャパをも含むフォトジャーナリスト集団)によって設立されたニューヨーク国際写真センター(ICP)にT.A.として加わる。街角の人間模様や都会の孤独感を、映画の一コマを思わせる独特のタッチで映しだす。その繊細な描写スタイルと人間を鋭く捉える眼差しが、身近な理解者の間で高く評価されるようになり、NYで作品を発表し始める。
多種多様な民族的・宗教的ルーツを背負った人々が混在しながら体現するNYの街での暮しから、自発的に諸文化・諸言語に精通するようになり、行動範囲を世界へと拡げる。NYでつちかった多彩な交友関係の輪を通じて、ヨーロッパ(東欧含む)や南米・北米ほか各地に滞在し、経済的には貧しくとも、国籍多々な人々と共有した心豊かな生活体験から多くを学びとる。結果、NYのマイノリティーの住人たち(移民、先住民、亡命者、経済難民と不法就労者、新天地を求めてやって来た移住者、etc.)の人口移動の歴史と多文化混交の背景を、「トランス・アトランティック(大西洋横断)」の視点から考察するに至る。
それぞれの地で、地元の庶民の生活の内に身を置きながら生きた文化を吸収し、都市風景やそこに暮らす人々の日常を中心に、数々の撮影プロジェクトを展開。国や文化の違いをつらぬく世界共通の状景を映像につむいで、ひとつの独自な世界観を浮き彫りにする。従来の写真の価値観や美意識では図れない作品の放つ不思議な存在感が、国籍を問わず幅広い層の支持を得る。新たなヴィジョンを追究しながら、自らのスタンスで静かにメッセージを発信し続けている。
現在、リスボン都心部に在住。グルべンキアン財団(ポルトガル)の芸術家助成奨学金を得て、自ら企画した長期撮影プロジェクトを展開しながら、現地で制作活動にたずさわる。歴史上、アフリカ・南アメリカ・アジアともつながりの深い、ポルトガルならではのコスモポリタンなコミュニティーにとけこみ、当地で活躍するクリエイターの創造力やリスボンの空気を全身で吸収する一方、'写真'の新たな解釈と自身の貫くべき方向性を追い求めている。展覧会や受賞など、多数。近年、写真の他、パフォーマンスやミュージックの分野でも多角的な才能を発揮している。
過去の展覧会 >> The Photo Hall Gallery (ニューヨーク; 1998)、80 Washington Square East Galleries (ニューヨーク; 1998)、The Gallery at Java and Jazz (ニューヨーク; 1999)、新宿ニコンサロン (東京; 2000)、天王寺ミオ (大阪; 2000)、大阪ニコンサロン (大阪; 2001)、コダックフォトサロン (東京; 2001)、ポルトガル大使館 (東京; 2002)、日本ポルトガル協会モラエス館 (徳島; 2002)、ほか多数。 [2003年以降の活動は、お問い合わせください。]